治療方法
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血管内レーザー治療について
今までの、レーザーを用いた静脈瘤治療の流れにつき少し説明いたします。
最初に実用化されたレーザー治療では従来から医療用として使われている、レーザーメスとして組織を切開したり、組織を凝固させる目的で開発されたレーザー装置が用いられていました。
そのため、レーザー波は連続的に出力され、強く焼ける部分とあまり焼けない部分が生じ、強く焼けた部分では血管壁に穴が開いて出血が起こったり、周囲の組織が熱で炎症を起こすなどの問題がありました。
その次に開発されたのがパルスヤグレーザーです。
パルスヤグレーザーは波長が1320nmとダイオードレーザーの810~1064nmと比べて長く、パルスというのは断続波の意味でレーザーの波を1秒間に50回点滅しながらじっくり照射ができます。
そして一定の速度で牽引する(引っ張る)装置を用いて、ゆっくりレーザーを血管壁に照射することにより、血管壁を焼け過ぎずに、血管壁の主成分であるコラーゲン(タンパク質)を変性させて血管を収縮させられるようになりました。
当クリニックで開院当時に使用していたのも、当時最新式であったこのレーザー装置です。
両者の違いをイメージ的にたとえると、
昔の連続式レーザーは「魚をバーナーで焦がした状態」といった感じで表面は焦げているけど中はまだ生の状態・・・
パルスヤグレーザーは「強火の遠火でじっくり焼いた状態」で焦げてないけど中までしっかり火が通っているといった感じです。
その後、ダイオード(半導体)のレーザーでパルスヤグレーザーと同じ50Hz(1秒間に50回点滅する)まで設定可能なレーザーが実用化されました。(以後パルスダイオードレーザーと呼びます)
このパルスダイオードレーザーとパルスヤグレーザーで血管内のレーザー照射実験を行うとどちらも血管を変性・収縮させられました。つまり血管内のレーザー照射ではレーザー波長の違いはあまり関係ないことがわかりました。むしろ問題だったのはレーザーの光が直進する性質です。
レーザーカテーテルの先端からはレーザー光がスポットライトや懐中電灯のように前方に向かって照射されます。
照射する血管が細い場合には全周にレーザー光が当たりますが、血管が太いとカテーテルに近い血管の一部にしかレーザーが届かず変性・収縮するのもその部分だけということになります。そのため太かったり曲がった静脈瘤では照射ムラができることがありました。
そこで、なるべく広い範囲にレーザー光が届くようにカテーテル先端を丸く加工したのが、いま、当クリニックで使用しているレーザー装置の原型となります。
まっすぐなカテーテルからはレーザー光がまっすぐ伸びますが
加工したカテーテルではこのように丸く光が広がります。
太い血管や曲がった部分でも照射ムラを少なくでき、血管壁に穴が開く危険性も減ります。
このようにして、今使用している拡散型のパルスダイオードレーザーが開発されたわけです。
血管内レーザー治療とは
血管を引き抜かないので、痛みや出血の少ない、体にやさしい治療法です。逆流の起こっている静脈に細いレーザーファイバーを挿入し、レーザーを照射して血管を収縮させて塞いでしまいます。静脈内にレーザーカテーテルを挿入し、拡張した静脈内腔をレーザーで焼き縮めて閉塞させる高度な最新の術式です。
創も小さくて済み、皮下出血や疼痛、神経傷害などを少なくできます。軽症から中等度の伏在静脈瘤の方が良い適応となります。
この治療法は超音波で確認しながら手術を行うので、たいへん安全性の高い治療法といえます。局所麻酔が血管の周囲に十分に入っているか、レーザーファイバーが血管に確実に挿入できたか、血管が収縮したかを超音波で確認しながら治療を進めていくため安心です。また、最新のシステムでは、レーザーファイバーを一定のスピードで移動させる装置がついているので、レーザーを照射しすぎることもなく、きわめて安全性の高い血管内治療が可能となりました。
ストリッピング手術とは
外科的治療法としては、長年、ストリッピング術と呼ばれる表在静脈の全長にわたる抜去術と静脈瘤の切除が行われてきました。
この手術は腰椎麻酔や全身麻酔で施行されるため、7~10日の入院が一般的です。しかし、すべての静脈瘤を摘出し、全域にわたる表在静脈抜去術を行うと、知覚神経障害を残すことがありました。
当クリニックでは弁不全を起こしている不全静脈部分のみの抜去を行うため合併症を少なくできます。
血管処置に使う器具もフラットヘッドストリッパーという新型の機械を考案し、使用しているため小さな傷からの処置が可能になっています。
これら、手術方法や麻酔方法の改良により入院の必要もなくなりました。
硬化療法とは
硬化剤という薬剤を注射で注入して治療する方法です。
逆流(弁不全)が無いか処置済みの細い静脈瘤が適応になります。
静脈瘤の太さなどに応じて、最適な濃度の硬化剤を使用する必要があります。また足のつけ根から逆流がある伏在型静脈瘤では、ほとんどの場合再発してしまいます。
不全交通枝(穿通枝)切除術とは
高位結紮術とは
静脈を切り取らずに縛り、切り離します。
以前は主流の手術でしたが再発が非常に多いため、当クリニックでは特殊な例以外は行ないません。
圧迫療法とは
弾性ストッキングや包帯などであしを圧迫します。
むくみを軽減したり、静脈瘤の症状の進行を抑えたり再発予防の効果はありますが静脈瘤を治すことはできません。
術後にも使用します。